はじめに

倉庫業を営むには、単に建物があればよいというわけではなく、倉庫業法(および施行規則・運用方針等)で定められた「施設設備基準」を満たす必要があります。

これらの基準をクリアしなければ、倉庫業登録を受けられなかったり、変更登録を拒否されたりします。
ここでは、主な基準項目を、倉庫の種類(1類・2類・3類など)を踏まえて、わかりやすく整理してご説明します。

倉庫業の施設設備基準とは

倉庫業を営むには、倉庫業法および関連規定で定められた施設設備基準を満たす必要があります。

ここではその主な基準項目を、倉庫の種類別に整理してご紹介します。

倉庫の種類と設備基準の関係

倉庫業法上、保管物品や構造に応じて以下のような分類があり、それぞれに異なる基準が適用されます:

  • 一類倉庫
  • 二類倉庫
  • 三類倉庫
  • 冷蔵倉庫
  • 野積倉庫
  • 貯蔵槽倉庫
  • 危険物倉庫
  • 水面倉庫

主な施設設備基準(共通・注意点)

使用権原・所有権倉庫および敷地に使用可能な権原を有すること賃借権や使用権も含むが、申請時点で証明が必要
法令適合性建築基準法・消防法など関係法令に適合すること用途地域、建築確認、消防設備などを要確認
定着性・構造性土地に定着し、屋根および壁を備えた工作物であること移設可能なテント倉庫などは原則不可
強度基準(軸組等・床)軸組・外壁・荷ずり:2,500 N/㎡ 以上、床:3,900 N/㎡ 以上構造計算書や試験資料での裏付けが求められる場合あり
防水・防湿措置雨水浸入、地盤湿気、結露を防止する構造であること断熱層、床下排水、湿気バリア設計が重要
熱環流率・断熱性平均熱還流率等の基準を満たすか耐火・防火構造とすること冷蔵倉庫ではさらに厳しい断熱性が必要
防火・区画設計倉庫内に事務所等がある場合、耐火・防火対策を講じる防火壁・防火扉・スプリンクラー等が必要なことも
消火設備消火器・消火栓・火災報知器など消防法基準を満たすこと延べ面積・階数に応じた装置設置義務あり
出入口・照明・防犯開口部構造や明るさ・防犯設備が確保されていることシャッター、非常灯、誘導灯等を設置
防鼠・害虫対策ネズミ・昆虫侵入防止策を講じること隙間対策、金網・モルタル等の措置が一般的
野積倉庫等の特別措置落下防止、防護柵、強度設計などを講じること屋上野積み、階高制限など注意
冷蔵倉庫特有基準断熱構造、冷却装置、温度管理性能などを備えること2024年告示改正による温度帯細分化への対応も要注意

建築基準法とは

建築基準法とは、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めている法律です(建築基準法第1条)。

注意点・実務上の留意点

  • 通常、構造図、仕様書、構造計算書、断熱性能資料などの証明資料が必須となります。
  • 用途変更が必要な場合、所管行政庁との調整が必要となることがあります。
  • 消防・防火設備、避難経路などは改修時にも影響を受けることがあります。
  • 冷蔵倉庫では温度管理や保守体制も重要となります。
  • 告示改正・運用方針の更新を随時確認する必要があります。

まとめ

倉庫業において、施設設備基準を満たすことは、単なる建物の確保以上に重要です。

リンクス総合法務 行政書士事務所とでは、基準適合性の検討、証明資料の整備、確認申請・登録支援を通じて、お客様の倉庫事業を法令対応面からサポートいたします。

(監修:リンクス総合法務 行政書士事務所)