既存の建物を倉庫として使いたい!「用途変更」の手続きが必要なケースとは?【200㎡の壁】

「使っていない工場を倉庫として再利用したい」
「空き店舗を改装してトランクルームを始めたい」
新築で倉庫を建てるよりも、既存の建物を活用すれば初期投資を大幅に抑えられるメリットがあります。
しかし、そこで必ず確認しなければならないのが建築基準法上の「用途変更」の手続きです。
これを知らずに改装工事を始めてしまい、「いざ申請しようとしたが基準を満たさない!」と計画が頓挫するケースも聞き及びます。
今回は、既存建物を倉庫にする際の法的なルールと、判断の分かれ目となる「200㎡の壁」について解説します。
この記事でわかること
- 「工場」や「店舗」から「倉庫」にするのは用途変更にあたる
- 床面積200㎡を超えると手続きが大変になる
- 古い建物にある「検査済証がない」問題とは?
1. そもそも「用途変更」とは?
建物は新築時に、「この建物は住宅用」「これは工場用」といった「使いみち(用途)」を決めて建築許可を受けています。
その使いみちを別のものに変えることを「用途変更」と言います。
「中身を変えるだけだから簡単でしょ?」と思われがちですが、建物は用途によって求められる安全性(耐火性能など)が異なります。
そのため、倉庫業(倉庫)という特殊な用途に変える場合は、行政に対して「確認申請」という手続きを行い、許可を得る必要があります。
2. 運命の分かれ道!「床面積200㎡」のルール
すべてのケースで申請が必要なわけではありません。
2019年の法改正により、用途変更の確認申請が必要なラインは「床面積200㎡(約60坪)を超える場合」と定められました。
| 倉庫の床面積 | 建築確認申請 | 難易度 |
|---|---|---|
| 200㎡以下 | 不要 | 比較的スムーズ (※法適合は必須) |
| 200㎡超 | 必要 | 非常に高い (建築士の協力が必須) |
⚠️ 「申請不要」=「何もしなくていい」ではありません!
200㎡以下なら確認申請という「手続き」は不要ですが、「建築基準法を守らなくていい」という意味ではありません。
倉庫業登録の審査では、申請不要な広さであっても、その他の建物の適合性チェックは必須となります。
3. 最大の難関。「検査済証」がない建物
用途変更の手続きをする際、必ず必要になる書類が、その建物が建った当時の「検査済証(けんさずみしょう)」です。
これは「新築時にきちんと完了検査を受け、合格しました」という証明書なのですが、古い建物(特に数十年前の工場や倉庫)では、この検査済証が存在しない、あるいは紛失しているケースが多々あります。
検査済証がない場合、原則として用途変更の確認申請はできません。
4. その他、用途変更でつまずきやすいポイント
用途変更の手続き以外にも、倉庫ならではのスペック確認が必要です。
店舗や事務所として作られた建物は、重い荷物を置く想定になっていません。倉庫業法では床の強度が求められるため、構造計算のやり直しや補強工事が必要になることがあります。
倉庫業は、建築基準法で定められた耐火建築物または準耐火建築物等であることが求められています。
その建物、本当に倉庫として使えますか?
「安く借りられる物件が見つかった」と喜ぶ前に、必ずご相談ください。
用途変更が必要かどうかの判定から、検査済証がない場合の対応策、提携建築士との連携まで、リンクス総合法務行政書士事務所がワンストップでサポートします。


